薬剤師国家試験の合格率や出題傾向は、今後の対策に大きく影響します。本記事では、2025年2月に実施された第110回薬剤師国家試験の結果や特徴、今後の注意点をまとめました。
試験結果や出題内容を振り返り、2026年以降の試験にて受験生が意識すべきポイントをご紹介します。
第110回試験結果と全体像
第110回薬剤師国家試験は、2025年2月22日・23日に全国で実施され、受験者数は13,310人、合格者数は9,164人、合格率は68.85%でした。前年の68.43%と比較して微増となり、ここ数年の安定した傾向を示しています。
特に注目すべきは、新卒(6年制課程)と既卒で大きな差が見られたことです。新卒の合格率は84.96%と高い水準でしたが、既卒では43.94%にとどまりました。近年は、卒業後に対策が遅れると厳しい結果になりやすいといえるでしょう。
大学別の合格実績では、国公立では千葉大学が96%超と非常に高く、私立では近畿大学や北里大学なども90%を超える高水準の合格率を記録しました。教育体制や国家試験対策講座の充実度が合格率に直結しているという傾向が見られます。
出題傾向の変化と対策ポイント
試験問題は全345問(1問2点)で構成され、マークシート方式により実施されました。合格基準は以下の3点です。
- 総得点850点中426点以上を獲得すること。
- 必須問題で70%以上の得点を取り、かつ各科目で30%以上得点すること。
- 禁忌肢(重大な誤答)を2問以内におさえること。
対象科目は「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」「法規・制度・倫理」「実務」の7科目と、非常に幅広く出題されます。
暗記だけでなく応用力や実践的な判断力が求められるようになっており、実務実習の経験や事例問題への理解が得点を左右する場面も増えています。
特に、実務問題においては、薬局や病院といった現場での実際の状況を想定した複合的な思考を要する問題や、複数の科目にまたがる知識を統合して解答する能力が問われており、単一分野の学習だけでは対応が難しい傾向が強まっています。
まとめ
第110回薬剤師国家試験は、全体として例年通りの難易度でしたが、新卒と既卒の合格率の差が大きく、継続的な学習の重要性があらためて示されました。
今後の国家試験では、単に知識を蓄えるだけでなく、それらをどう組み合わせて活用できるかが合格への鍵となります。
基礎知識とともに応用力や現場対応力がさらに重視されることが予想されるため、日頃から過去問や実践形式の問題に取り組み、苦手分野を早めに克服する姿勢が合格への近道です。早い段階からの計画的な対策が重要になります。
自己学習の際には、特定の科目にとらわれず、実務を通して知識がどう繋がるかを意識することが、今後の合否を分けるポイントになるでしょう。